放射線、放射能、放射性物質
● 放射線と放射能、放射性物質の違い
放射線を出す物質とその力
放射線は高速の粒子か、波長が短い電磁波です。この放射線を出す物質を「放射性物質」、放射線を出す能力を「放射能」といいます。これを懐中電灯に例えると、「放射線」は電球から出た光、「放射性物質」は光を出す能力を持つ懐中電灯、そして、懐中電灯が光を出す能力が「放射能」になります。
そのため、もしも放射線が漏れたとしても、光が壁に遮られるのと同じで、遮る物があれば放射線も減らせます。
しかし、放射性物質の場合は、懐中電灯の光が懐中電灯を消さない限りなくならないのと同じで、放射線を出す放射性物質を取り除くか、放射能がなくならない限り、放射線は出続けます。
● 放射線・放射能の単位
強さや影響など表すものによって使用する単位は異なります
放射性物質が放射線を出す能力、放射能の強さを表す単位を「ベクレル(Bq)」といいます。
また、人体が受けた放射線による影響の度合いを「シーベルト(Sv)」、放射線のエネルギーが物質や人体の組織に吸収された量を「グレイ(Gy)」という単位で表します。
グレイはがん治療や放射線滅菌などの放射線の量を表す単位に使われています。
■ 放射線、放射能の単位表
● 放射性物質の半減期
放射線を出す能力は時間とともに減衰します
放射性物質が放射線を出す能力「放射能」は、時間とともに弱まり、最終的には放射線を出さない安定した物質になります。放射能の量が半分になるまでにかかる時間を「半減期」といい、その時間は放射性物質の種類によって決まっています。
例えば、福島第一原子力発電所の事故で大気中に放出された「ヨウ素131」の半減期は8日、「セシウム137」は30年です。「ヨウ素131」の場合、8日で放射能は半分に、16日で1/4と、8日経つごとに半分ずつに弱まっていきます。