活動レポート

医療被ばくについてのQ&A


患者さん

何回も撮影したけど身体に影響はないのですか? 

技師

通常のX線検査を何回受けても特に問題ありません。検査で用いる放射線の影響はほとんどなく、検査から得られる情報が大きく安全です。

患者さん

短期間にいろいろなX線検査をしましたが影響が心配です

技師

X線検査で障害が発生する放射線量を受けることは、通常の検査法ではありません。レントゲン撮影、CT検査、消化管検査等の複数の検査を受けても限定した部分の撮影であり、障害を心配する放射線を超えることはありません。

患者さん

子供の撮影を介助した後、妊娠がわかり胎児への影響が心配です

技師

妊娠初期(0~8週)の胎児は放射線による影響の発生レベルが100mGy/回、また胎児(8~15週)の場合は120mGy/回ですが、小児の撮影における皮膚の放射線量は約0.09mGyと低い値です。また介助者は直接X線を受けることはなく、患者様からの散乱腺もほぼゼロに近い量となり、さらにX線防護衣により胎児が放射線を受けることもなく影響は心配ありません。また妊娠中の方で生殖腺から離れた部位のX線検査を受けた場合も影響を心配することはないので安心してください。

患者さん

胸部X線撮影を受けたが、施設によって腰プロテクタを使ってくれないのはなぜですか?放射線の影響が心配です

技師

胸部正面撮影での皮膚の放射線量は、自然放射線の1/20以下で当院のデータでは0.12mGy程度であり、X線を受けない生殖腺の線量はほぼゼロと低い量ですので放射線による影響は心配ありません。プロテクタの使用の有無に特に影響の差はなく、使用法の規定が無いことが施設間での違いを生じております。

患者さん

子供が新生児期に頭部CTを受けましたが将来放射線の影響がでることはないのですか?

技師

頭部CTで使用される放射線量は一般撮影に比べ多いのですが、影響において重要なのは、どの臓器にどの程度放射線を受けたのが問題となります。考えられる身体的影響として甲状腺に対する発がんですが、甲状腺は約1.9mGyの放射線量を受けますが、これは自然放射線量と同程度です。また赤色骨髄は約2.7mGyの放射線量を受けますが50~200mGy以下の線量では白血病の発生確率には影響しないとわかっています。遺伝的影響に対しては、生殖腺に放射線を受けた場合のみ発生しますが、頭部CT検査の場合受ける線量は、ほぼゼロなので影響は全く心配ありません。

患者さん

X線検査のときに、衣服を脱がなければいけないのはどうしてですか?

技師

体内の臓器や骨を体表面の見える部位を目印として写真を撮るため、体の表面が露出している方が位置をあわせやすくなります。また、服によってはその陰が写るものもあり、湿布薬や磁気などのとり忘れなどもあるため、このような再撮影による無駄な被ばくを避けるためにも衣服を脱いで検査した方がよいでしょう。

患者さん

病室でのX線撮影時の際、なぜ看護師や家族も、退室しなければならないのですか?隣の患者は安全ですか?放射線の影響が心配です。

技師

成人の胸部ポータブル撮影で皮膚に照射される放射線量はおよそ0.1mGyで2m離れると10μGy以下になりますので隣のベッドに患者さんがいても問題ありません。しかし撮影の際、退室していただくのは、不要な放射線を少しでも受けることがないような配慮と患者さんのプライバシー保護のためになります。

患者さん

放射線は有害と聞きました。胸部集団検診を毎年受けていますが、大丈夫でしょうか?

技師

1回の胸部撮影での入射表面線量は0.12mGyです。放射線による人体への影響には確定的影響と確率的影響がありますが、この程度の被ばく線量ではいずれもなんらかの影響が現れることはないので、安心して検査を受けてください。

患者さん

X線写真は1回に何枚まで撮影しても大丈夫ですか?

技師

1回のX線検査で撮影する枚数制限は特にありません。撮影部位や症状によって医師が判断した必要最小限の枚数分だけ撮影されます。現在のX線検査は以前より1回に受ける放射線量もかなり少なくなっているため、枚数の心配をせず安心して検査を受けてください。

患者さん

妊娠中にX線検査を受けた場合の危険(リスク)について教えてください。

技師

胎児への影響は、胎児が直接X線を受けた場合のみ問題となります。胎児のリスクは胎児死亡(流産)、奇形児の発生、精神発達の遅延、小児がんの発生、出生児の遺伝的影響などがありますが、被ばく線量と胎児の月齢によっても影響は異なります。胎児の確定的影響のしきい値は約100mGyといわれています。

患者さん

放射線を受けると白血病やがんになりやすいと聞きますが本当でしょうか?

技師

白血病の発生は造血臓器である赤色骨髄が被ばくしなければまったく心配ありません。通常のX線検査では、白血病になる可能性はほとんどないと考えてよいでしょう。がんについても、大量の放射線を受けるとがんになる確率が高くなりますが、診断で用いられる線量では心配ありません。

患者さん

生殖腺に放射線を受けると子どもができなくなるのですか?

技師

少しでも被ばくしたら不妊になる可能性があるのではなく、一定の線量以上被ばくしないと不妊にはなりません。一時的不妊や永久不妊になる線量を「しきい線量」といいます。一時的不妊では、男性150mGy、女性650mGy、永久不妊は、男性3.5~6Gy、女性2.5~6Gyです。これを超えて被ばくしない限り一時的にも不妊になることはありません。*生殖腺のみ被ばくした場合のときです。他の部位では不妊にはなりません。

患者さん

子どもが検査をしたとき一緒にいても影響はないのですか?

技師

介護者の被ばくは直接被ばくすることは少なく、患者さんからの散乱線によるものがほとんどです。また、介護者にはプロテクタなどを着用してもらうので、ほとんど被ばくすることはありません。

患者さん

放射線を被ばくすると子どもに影響が残るのでしょうか?

技師

本人の被ばくがその子孫に与える影響を遺伝的影響といいます。遺伝的影響が起こる可能性があるのは生殖腺が被ばくした場合で、男性、女性ともに生殖腺に被ばくしない限り遺伝的影響を心配する必要はありません。

患者さん

核医学検査で注射した放射性医薬品は、いつまで体内に残っているのですか?

技師

使用される放射性医薬品は自然に減ってしまう時間が早く、一般的なものでは1日たつと最初の1/16になってしまいます。また、尿や便に排泄されて、さらに短い時間で体内から消え去るため、放射性医薬品が体内に残り影響を及ぼす心配はありません。