骨塩定量測定検査(骨密度測定検査)

 

■ 骨塩定量測定検査とは


 骨塩は英語でbone mineral(ボーン・ミネラル)といい、骨中に含まれるカルシウムやリンなどの無機塩類(ミネラル)の総称です。主に骨粗鬆(こつそしょう)症の診断に用いられています。また、ホルモンのバランス異常や先天性の代謝性骨疾患による診断や治療にも使われ、病態の解明などに用いられています。
当院では2種類のエネルギーピークを持ったⅩ線を測定箇所の骨に照射し、透過するエネルギーの減衰から骨密度を測定する精度の高いDEXA法(Dual Energy Ⅹ-ray Absorptiometry)で検査を行っています。
 

■ 骨粗鬆症とは


骨粗鬆症では骨密度が低下し、骨が折れやすくなります。特に閉経後の女性に多い病気ですが、他にもいろいろな原因があります。日本には推定約1000万人程度の骨粗鬆症患者がいると推定されていますが、この骨粗鬆症によって年間10万人以上の人が大腿骨を骨折しているといわれています。これら骨粗鬆症に起因する骨折によって日常生活能力が低下していきます。骨粗鬆症を早期に発見することが大切です。

■ 当院の装置 


GE社製のPRODIGYを導入しています。骨密度を検査する方法はいくつかありますが、当院では微量なX線を用いたDEXA法(デキサ法)にて骨密度検査を行っています。DEXA法は他の方法と比べ非常に測定精度が高いのが特徴です。測定に用いるX線はきわめて少ない量ですので、気軽に検査を受けていただくことが可能です。

 

PRODIGY Fuga

■ 検査の手順と注意事項


  • 測定部位に衣服の金具・ボタン・シップ等がある場合は外していただきます。
  • 検査査台に仰向けに寝ていただきます。測定中は息を止める必要はありませんが、体を動かさないようにお願いします。
  • 検査時間は測定部位によりますが15分程です。
 
 

■ 検査方法


● 全身

 骨密度評価は一般的に下記の腰椎や大腿骨頸部を評価することが標準的です。全身測定を行うことで、全身各部位の骨密度値とともに、体組成計測(脂肪量、非脂肪量、骨量)の計測が可能です。
スポーツ医学領域やメタボリックシンドロームなどのダイエット、リハビリテーション分野での各パラメータのモニタリングに適しています。また、SMI(Skeletal Mass Index) も自動計測機能を有しており、慢性腎不全、肥満症、骨格筋量及び骨格筋力の低下を特徴とする症候群であるサルコペニアなどの診断に有用です。

 

● 腰椎

脊椎は骨量が低下すると明らかな転倒などがなくても徐々に圧迫骨折がおこりやすくなります。腰椎には骨代謝が活発で骨の変化が現れやすい「海面骨」豊富に含まれているため、他の骨と比べて骨の変化を捉えやすくなります。現在、腰椎のDEXA法が骨密度測定の標準となっています。検査台に仰向けに寝ていただき、腰の生理的な屈曲を補正するために、膝を少し曲げていただき検査を行います。

 

● 大腿骨

大腿部では転倒で骨折しやすい部位です。特に、高齢者では起立不能から寝たきりになることも多いので注意が必要です。検査台に仰向けに寝ていただき、測定する側の足を少し内股にするために専用の固定具で足先を軽く固定させていただきます。

 

● 前腕骨

骨密度の測定を簡易的に行う方法として前腕骨を評価する方法があります。日本臨床整形学会2016のアンケート結果では、前腕骨で評価している施設が多くあると報告されています。
本測定法は下図のように座っていただき、位置合わせ後1分程度で検査は終了します。