■ 血管撮影室で行われる主なIVR


● 腫瘍塞栓術

腫瘍塞栓術とは腫瘍が取り込んでる血管にカテーテルを通し塞栓物質や薬剤を注入することにより腫瘍を治療する方法です。
主に肝臓がんに対し施行しています(肝動脈塞栓術・TAE)。
この治療では足の付け根からカテーテルを血管内に挿入します。
このIVRは腫瘍以外にも臓器の出血に対する止血に用いられます。
当院では主に放射線科医や消化器内科医が施行しています。

 
 
  

● 動注化学療法

がん治療において抗がん剤は一般的に静脈注射によって投与しますが、カテーテルを動脈に挿入し、がん腫瘤が取り込んでいる動脈に直接抗がん剤を投与する治療法があり、動注化学療法と呼びます。当院では肝細胞癌・頭頸部癌に対し実施しており、主に放射線医師が施行しています。
 
 

■ 心臓カテーテル室で行われる主なIVR


 

● 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

動脈硬化などにより狭くなった心臓を栄養する血管(冠動脈)に対し足の付け根や腕から先端にバルーン(風船)が付いたカテーテルを通し、バルーンを膨らませて狭くなっている血管を広げる治療です。広げた血管は再び狭くなってしまう場合もあるので、ステントと呼ばれる金属の筒で広げた血管を固定させる方法も行われています。
全身麻酔下で胸を開かなければならない冠動脈バイパス術に比べ患者さんへの負担が非常に少ないため近年急速に普及しました。主に循環器内科で施行しています。
 

 
 

● アブレーション治療

不整脈(心臓の拍動リズムに異常を来す疾患)に対し、足の付け根の静脈からカテーテルを心臓まで挿入し、心臓内部の不整脈の原因となる異常電気信号の経路を焼却する治療法です。近年では液体ヘリウムを使用した凍結治療も行われています。
主に循環器内科で施行しています。
 
 

■ ハイブリッド手術室で行われる主なIVR


ハイブリッド手術室とは外科的手術を行う手術室に血管撮影装置を設置した特殊な手術室のことであり、より清潔な環境下で開頭、開胸、開腹手術とIVRの双方を選択し、安全かつ迅速に実施することができます。
 

● 脳血管内治療

脳血管内治療とは脳動脈瘤や脳血管障害に対しカテーテルを用いて治療する方法です。
この治療では足の付け根から動脈を通してカテーテルを挿入しマイクロカテーテルと呼ばれる極細い管を脳血管まで進めます。
脳動脈瘤の場合はプラチナ製のコイルを動脈瘤内に留置し、動脈瘤の破裂(くも膜下出血等)を防ぎます。
また脳塞栓症(脳梗塞)の場合にはマイクロカテーテルから血栓を溶かす薬剤を投与する方法や特殊な金属の網で血栓を絡め取る方法や血栓を吸引する方法を行い血栓を除去します。
主に脳血管内治療部(脳神経外科)で施行しています。

 
 
  

脳動脈瘤の治療

 

● 大動脈血管内治療

胸部・腹部などの大血管の動脈瘤や大動脈解離(血管が裂ける疾患)に対し拡大・破裂を防ぐため、ステントグラフトと呼ばれる金属の筒の付いた人工血管をカテーテルを通して留置する治療方法です。
開胸開腹手術による人工血管置換術と比べ患者さんへの負担が少なく、手術も短時間で終了し、入院日数も短期間で済みます。
主に血管外科で施行しています。

 
 
  

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト術

 

● 大動脈弁置換術(TAVI)

心臓から全身へ血液を送りだす出口にあたる大動脈弁が狭くなり、全身の血液循環量が下がっている患者さん対して人工の大動脈弁をカテーテルを通して留置することにより治療する、近年登場した新しい治療法です。この治療では足の付け根または直接心臓にカテーテルを通し治療を行います。開胸手術による人工弁置換術に対し患者さんへの負担が少なく、開胸手術を受けられないもしくはリスクの高い患者さんに対して実施しています。
当院では循環器内科・心臓外科・血管外科・麻酔科医師を含むTAVIチームを結成し治療を施行しています。

人工大動脈弁留置後